降格・減給を撤回させ、減額分を取り戻した!

降格・減給を撤回させ、減給分も取り戻した!

医薬品の開発・製造・販売の武田テバファーマ株式会社(テバ・ホールディングスと武田薬品工業の合弁会社)の営業員のMさんは、2020年6月給与支給分より、課長待遇から「給与等級の1等級ダウン」ということで、月収で16万円ダウン、年俸で約200万円ダウンが強行されました。

Mさんは、合弁会社の設立時の2015年、同業界の他社からの入社で、その時点での年俸給与同等で、約6年間変わらず営業員として働いてきました。

2019年の2月に本社人事担当者と面談があり、営業員の給与のばらつきを等級として考えると、Mさんは1等級下がり、減額となるとされました。その後、4月になって「給与改定通知」を渡され、給与ダウンが記載されていました。おまけに「上記条件を確認し、改定に同意いたします。」の署名欄がありました。受け取って放置していたが、8月に入ってから「給与改定通知」への署名・提出の催促を何度もされてきたとのことでした。

この催促をきっかけに、9月末に管理職ユニオン・関西に相談に訪れ、加入後の10月12日に団体交渉を申入れました。協議事項は「降格、減給の撤回について」です。

 

〈団体交渉開始〉

2020年11月2日、第1回団交。降格・減給に至る経過の事実関係の確認を行い、Mさんを「降格・減給」にした根拠となる規定が就業規則にないことを追求し、会社に認めさせました。その結果、組合から『就業規則のどの条項に基づく「降格・減給」なのかを示してください』に対し、会社が後日書面で回答することになりました。

11月13日、会社人事・総務本部部長からの書面が届きました。そこには、入社時から等級制度や報酬部分、等級変更(昇降格)時には給与改定の説明をしている、2016年1月、2018年にも説明してきたとの記載があり、結びは「以上の背景のもと、M社員におかれましても、弊社制度について十分な説明をおこなった上で、適正かつ公平な処遇を実施していると存じますが、引き続き理解を深めていただけるよう努めてまいります」ということでした。団交での確認には、まったく触れないふざけたものでした。

11月16日、組合は、要求書(1、降格・減給の撤回。2、減額した分の支払い)に基づく団体交渉を申し入れました。

11月26日、第2回団体交渉。M組合員から会社のいう説明は一度も受けていないこと、規定についても何も示されてこなかったことを主張しました。組合の追及で、給与規定はあるが「降格・減給」の定めはなく、等級制度関連の定めもなく、現在検討中であることを、会社が認めました。併せて、減給が懲戒処分でないことも確認しました。

この日の結論は、会社が組合要求を持ち帰って検討することとなりました。

12月9日、第3回団体交渉。会社が、組合要求を受け入れると回答をしてきました。12月23日、合意書を交わしました。合意内容は、①2020年5月1日付け「降格・減給」を撤回する。②2020年5月から12月分までの減額分を2021年1月25日に支払う。③会社、組合、Mさん間で、何らの債権債務もないことを確認する。

 

<コメント>

会社からの「降格・減給」通知に対して、ポイントとなったのは、①納得いかなかったので、異議を申し立てたこと、②業務命令であっても認める発言や署名をしなかったことです。

Mさんの「降格・減給」の場合は、給与減額の「給与改定通知」への署名をしなかったことが大きな武器になりました。給与命令によって給与減額は強行されていましたが、組合加入後、「降格・減給」の撤回することと、減額された分を未払い賃金として要求しました。

管理職ユニオン・関西の考えとしては、面談で「降格・減給」の話があった時点で、組合に加入(本当は何もない時点で加入しておいてほしいのですが)して、同じように「降格・減給」を提示されている労働者たちに声をかけ組織して、一緒に闘うようにしてほしいのです。

会社からいろいろな不利益な変更、具体的には降格、減給、配転・出向、職種変更、勤務時間の変更などあります。こうした提案または業務命令があった場合、納得いかなければ、納得いかないと意思表示をすることです。会社は、受け入れるか辞めるのかと、二者択一を迫ってきます。忘れないでほしいのは、今のままでいい、現状維持を念頭に置き、現状より条件が悪くなることは不利益な変更であるとすることです。

(2021年1月16日)